こんにちは!今回は広島大学の理系数学大問3を解説します。
注意:このサイトはPCで見る方向けに作成しているため、スマホからだと少々見づらいかもしれません。
問題はこちらから。
https://www.hiroshima-u.ac.jp/system/files/159561/02m-suugaku5.pdf
目標解答時間は20分です。確率と二次関数の複合問題ですが、問われていることは基本的なことなので、是非満点を狙いたいところです。
解答のポイント
この問題を回答する際にポイントとなるのは次の2点です。
①条件が成り立つ場合を数え上げる。
確率の問題なので、つまったときにはとにかく数え上げましょう。
特に(1)などは、6×6=36(通り)を愚直に数え上げるほかないと思います。
②\(a\)の偶奇で場合分けする。
関数\(f(x)\)において、\(x^2\)の係数は\((-1)^a\)なので、\(a\)の偶奇によって場合分けすることで、\(f(x)=0\)の判別式の計算がしやすくなります。
ですので、(2)以降は場合分けが解答のポイントになると思います。
解答
(1)表で\(b^2-4c\)の値を表すと
\(b\) | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
\(c\) | \(4c\)\\(b^2\) | 1 | 4 | 9 | 16 | 25 | 36 |
1 | 4 | -3 | 0 | 5 | 12 | 21 | 32 |
2 | 8 | -7 | -4 | 1 | 8 | 17 | 28 |
3 | 12 | -11 | -8 | -3 | 4 | 13 | 24 |
4 | 16 | -15 | -12 | -7 | 0 | 9 | 20 |
5 | 20 | -19 | -16 | -11 | -4 | 5 | 16 |
6 | 24 | -23 | -20 | -15 | -8 | 1 | 12 |
という形になる。\(b^2-4c\)の値が正になれば良いので、求める確率は\(\frac{17}{36}\)である。(終)
(2)\(f(x)=0\)が異なる2つの実数解をもつには、判別式\(D\)が\(D>0\)をみたせばよい。
(ⅰ)\(a\)が奇数のとき、\(b, c\)は正だから
\(D=b^2-4(-1)^a c=b^2+4c>0\)より、必ず異なる2つの実数解をもつ。
(ⅱ)\(a\)が偶数のとき
\(D=b^2-4(-1)^a c=b^2-4c\)だから、\(D>0\)となる確率は(1)より\(\frac{1}{2}\cdot\frac{17}{36}=\frac{17}{72}\)となる。
(ⅰ)(ⅱ)の事象は独立なので、求める確率は
$$\frac{1}{2}\cdot 1+\frac{17}{72}=\frac{53}{72}$$
となる。(終)
(3)\(f(x)\)を\(x\)について微分すると、
$$f'(x)=2(-1)^a x+b$$
ゆえに
$$f'(1)=2(-1)^a+b$$
となる。
\(a\)が奇数のとき、\(f'(1)=-2+b\)となり、\(f'(1)=7\)のとき、\(b=9\)となる。これはさいころの目が6までしかないことから不適。
\(a\)が偶数のとき、\(f'(1)=2+b\)となり、\(f'(1)=7\)のとき、\(b=5\)となる。これは条件に合う。
このとき、\(c\)の値によらず\(D>0\)となる。したがって求める条件付き確率は
$$\frac{P(D>0\cap f'(1)=7)}{P(D>0)}=\frac{\frac{1}{2}\cdot\frac{1}{6}}{\frac{53}{72}}=\frac{6}{53}$$(終)
(4)まず、異なる二つの実数解をもち、それらがともに負の解である確率を求める。
(ⅰ)\(a\)が奇数のとき
グラフ\(y=f(x)\)の軸の方程式は
$$x=-\frac{b}{2(-1)^a}>0$$
となり少なくとも一つは正の解となるので不適。
(ⅱ)\(a\)が偶数のとき
グラフ\(y=f(x)\)の軸の方程式は
$$x=-\frac{b}{2(-1)^a}<0$$
となり、常に負となる。また\(y\)切片は
$$f(0)=c>0$$
となり常に正となる。したがって必ず二つの負の解をもつ。これは求めたい条件に合う。
(ⅰ)(ⅱ)より、\(f(x)=0\)が異なる二つの実数解をもつときに、二つの負の解を持つ確率は
$$\frac{P(D>0\cap a:\text{even})}{P(D>0)}=\frac{\frac{17}{72}}{\frac{53}{72}}=\frac{17}{53}$$
(even:偶数の意)となる。求めるのはこの余事象なので、求める確率は
$$1-\frac{17}{53}=\frac{36}{53}$$(終)
おわりに
この問題は、問われていることは基本的ながら高校数学で学んだことをさまざま応用できないと解けない問題だと思いました。
また、この条件だとどのようになるかなど、情報を整理する力が求められていると思います。
ただ、広島大学レベルでは落とせない問題かなと思います。
それではまた次回
しゃもじ
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